逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 廊下の奥のドアを開けた。

 女性らしい部屋にサイドテーブルがありドレッサーがある。向かいの壁に窓があった。

 ソフィーはその窓を開けた。
 とたんに匂いたつ香りが舞い込んできた。

 月が辺り一面を照らしている。まるで昼間のような庭に、そこを埋め尽くす白い花、花、花。

 夜風に揺れて怪しいほどの美しさだった。

「これは、壮観だな」
 アーロンもつぶやく。

 そうでしょう、と嬉しそうに、
「ちょうど満開になっていたのね。この花は昼間もきれいだけど、こうやって夜に浮かぶ光景は幻想的でしょう。私は毎年この窓からずっと眺めていたのよ」
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