逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
王の急変
 洞窟に急報が入った。
 この国のグリンドラ王が急逝したのだという。

「なにっ!」
「今朝まではお元気だったのです。でも昼過ぎにはもう」
 そのまま息を引き取ったのだと。

「なんてことだ、こんなバッハスの脅威があるときに」
 アーロンが頭を抱えた。
「すぐに王宮に帰る。王の葬儀を取り決める必要があるからな。君はここで待っていてくれ。時間がかかるかもしれないが、すべてを解決させて帰ってくる」

 ソフィーが無言で見上げた。
 顔が蒼白になっている。それでも、
 
「どうぞお気をつけて。すべてがうまくいきますように」

 無理に笑顔を作っていた。

 それを見つめて何度もうなずいてみせた。

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