逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ガイらは平地に陣を敷いていた。出入りが容易いためだ。敵はそこを突破口にすると予測していた。
 その意表をついて山岳地帯から躍り出たのだ。

 ラクレス兵があわてた。即座に後を追おうとした。
「まてっ! 追うな」
 ガイが大声で止めた。

「あの数に立ち向かっても犬死するだけだ。それよりこの事態をただちに王宮へ知らせるのだ」

 そして全員に怒鳴った。
「我われも王都に向かう。そこで国軍と合流して戦うのだ」


「進めぇっ! 今こそグリントールを攻め滅ぼすのだ!」
「おおっ!」 
 バッハス軍は気勢を上げた。
 怒涛の如く前進し王都へ続く道を埋め尽くす。

 ラクレスの領民は物陰に隠れてただそれを見るしかなかった。


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