逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「な、なんだとっ、そんなでたらめを!」
 なおも激高する。しかし、
「いや隊長、ちょっと待ってください」
 斥候隊の部下だった。

「本当、かも知れません。彼は、ヴェンはアーロン家の私兵ですので」
「私も見たことがあります。ヴェンはアーロン様の用で何度も王宮に出向いておりましたから」
 斥候隊の面々は最高位のアーロンは見たことがない。
 しかしその私兵のヴェンは知っているのだ。

「うそだろう?」
 隊長が絶句した。

 改めてアーロンを見る。

 彼は意味ありげに目を丸めた。
 口の端でニヤリと笑うと、
「まあ、アーロン・・二世と呼ばれてはいるがな」

 ボスが目を剥いたまま固まった。
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