逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「いえ、ほんのちょっとね」

 ちょっとと言う割には大量の薬を抱えている。
 まだ搔き集めているソフィーに、
「あの、それだけお買い上げになると、お代のほうもかなりになるんですが」

「大丈夫よ、これだけ持っているから」
 さっきアーロンから借りた札入れを見せた。

「これで足りなかったらアーロン様につけておいて。あの方が払って下さるから、たぶん」
 ええっ、とヴェンが絶句する。

「左様ですか。では荷造りしましょう。当店の品はどんな傷にも効くと評判でございまして」

 愛想笑いを浮かべて商品を揃えていった。


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