逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 アーロンは、馬を数歩進ませた。
 彼女の側に行くと、

「すべてが終わったら」
 声を落として告げた。

「君を、屋敷に迎えたい」
「え?」

「あの家の女主(おんなあるじ)としてだ。妻として迎えたい」
「・・!」

 声は無意識に大きくなっていた。
 そのやり取りを誰もが注目している。
 
「いいだろう?」
 馬上から身を乗り出すようにして聞いてくる。
  
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