逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「気になる事?」
「この前、国境で紛争が起こったでしょう。それは両国のお偉方で協議しているけど。その他にも我が国のグリンドラ王が向こうの新王に親書を送ったんですって、即位を祝福する内容でね。でもその返事は全く無いんだそうよ」

「え? それって」
「だから腹が読めないのよ、バッハスに何か魂胆があるんじゃないかって。ほら、うちの旦那様は国軍の最高司令官でしょう。何かあれば矢面にたつお立場なんだから」

「それって本当に大ごとじゃないの」
「そうなのよ。何事も無ければいいんだけどね」

 申し合わせたようにため息をついた。

 二人は次々に窓の鍵を閉めていく。
 部屋の灯が消えて足音が遠ざかった。


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