逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「アーロン様、奥へ下がってください」
 側近が声をかける。

 アーロンはエントランスの壇上にいた。
 目につく場所だ。
 そこで要人が指揮を執っているのが一目瞭然だ。

「もしアーロン様になにかあれば士気にかかわります」
 
「なにを言う、ここで戦況を見る必要があるのだ。おめおめと引っ込んでいられるか」
「しかし・・」

 いや、とアーロンは西の方角を見た。
「もう間もなくだ、膨大な『援軍』が駆け付けてくれるのだ、山の湖からな」
「例の、あれですね」

「そうだ、いつ決壊させるか、それが問題だった」
「はい」
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