逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「早すぎれば敵の本体が来る前に到達してしまう。すると先陣は叩けるが本体が生き残ってしまうのだ」
 ・・しかし、とアーロンは周囲を見た。

 戦っているグリント―ル兵にうずくまる者が出ている、手傷を負ったのだ。
 その数が徐々に増えている。

 一か八かの賭けになっていた。
 
 バッハスの本陣は王宮の周囲に到達している。
 ここで『援軍』が押し寄せてくれれば。
 
 持ちこたえてくれ、もう少し・・。
 命を賭して戦っている兵に祈る思いだった。

「おおっ!」
 バッハス兵が目を見張った。
「あそこに総大将がいるぞ、あの檀上だっ」

 側近に囲まれたアーロンが見えた。
 そこから指揮を執る様子がありありとわかる。
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