逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 はっとしたのは異様な音が迫ったときだ。

 ドドド―ッという爆音が至近距離で響く。

 大海原のような濁流が迫っていた。

「うわあーっ!」
「ぎゃーっ!」

 逃げようとするもすでに遅かった。
 水はいとも簡単に彼らを呑み込んでいった。

 二階にいたバッハス兵がそれを見た。
 空前絶後の光景が広がっていた。

 なんの変哲もなかった地面が大海原になっていた。
 巨大な波が絶え間なく襲いかかっている。
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