逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 マリンドウ王はひとしきり王子を抱いた後で、これまた意外なことを言った。
「さあいっしょに帰ろうか。マリンドウで母上が待っているぞ」
「はいっ」
 王子が嬉しそうにすがりつく。

 グリント―ルの臣下が目を丸める。

 グリンドラ妃はおもむろに笑いかけて、
「びっくりするでしょうが・・」
「はい?」

「王子は亡くなったグリンドラ王の子ではないのです」
 微笑みながらあっけらかんと言う。
「・・はいっ?」

 空気を察して王妃が、
「疑っちゃいけないわ、私は不倫をした訳ではありませんからね」
「・・はあ・・」

「亡くなった王は、その、子供が出来ない体質だったのです。本人もそれをご存じで」
 あっけにとられる一同に、
「でも、王の他にこの国の後継者はいないでしょう?」
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