逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 洞窟の出口にソフィー用の馬がいた。

「乗馬が得意でよかったよ。ここはあのガイに感謝すべきだろうな、少々腹が立つこともあるが」
「腹が立つって、彼らは・・」

「冗談だ、日暮れ前に山を下りよう。すぐ出発するぞ」

 ソフィーは洞窟を振り返った。
 負傷兵と寝食を共にした場所だった。

 その思いを胸に、促されるまま手綱を引いた。


 一行は間もなく王都に入った。 
 だがアーロンの屋敷とは違う方向に進んでいく。
 
「この道は? 一体どこへ行くのですか」

 振り向いた彼は笑っていた。
「いいからこのままついて来てくれ」

 目的地に近づいたのだろう、馬はしだいに並足になった。
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