逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「一体どうなってしまうというのだ、この国は!」
 シュテルツが怒り心頭で怒鳴る。
 彼の執務室で歩き回っていた、そして息巻いていた。

「どうもこうも無いだろう? とにかく王子も王妃もこのグリント―ルを後にしたのだから」
 対してアーロンは無造作だ。

「しかしだな、この国の行く末はどうなるのだ。いや、遠い先々のことだけじゃない、バッハスの侵攻で荒らされたこの王都はどうやって復興して行けばいいのだ。なんのために国があるのだ。俺たちはいったい何を()り所にしていけと言うのだ」

 感情のまままくしたてる。
 
 膨大な濁流によってそこかしこが浸水した。水は引いたものの後始末はどこから手を付けていいものか。
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