逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 レブロン家は代々宰相を輩出してきた名家だった。
 軍を受け持つハインツ家と共に二大臣下と呼ばれている。

 だがデューク・レブロン亡き後の宰相はこのシュテルツだった。
 レブロン家とは姻戚関係がないと聞いているが。

「この方がデューク・レブロン様でございます」
 と壁の肖像画を示した。

 絵画の侯は見る者を圧するような威厳がある。

「代々政務を担当してきたレブロン家ではありますが、現在は当お屋敷には誰もお住まいになっておりません」
 入って来たときの印象通りだった。

「デューク様のお子様はご令嬢が一人だけでした」
 そう言って二つ目の肖像画を紹介した。

「お名前をベアトリス様と言われまして、ごらんの通りそれは美しいお嬢様でした」
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