逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 息を呑むほどの美貌だった。
 これほどの人がいるのかと思うほど端正な顔で微笑んでいる。

「しかし、この方はレブロン家を継ぐことなく他家に嫁がれたのです。それでお輿入れになった先というのが」
 
 ひと呼吸おいた彼の言葉に、
 あ! とソフィーが反応した。

「そうです、ハインツ家です。そしてベアトリス様は一人の男子をご出産になりました」
 
 つい隣を見る。
 アーロンがむず痒いように頬をかいていた。

「そういう訳で、デューク・レブロン様はこのアーロン・ハインツ殿のご祖父に当たるのです」
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