逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「しかし奇跡が起きました。アーロン殿が、あろうことか若返ったのです。その仔細はソフィー様もご存じでごしょう。あのワイトという得体のしれない男の仕業・・、いや、おかげなのです。これでレブロン家の再興が叶います。この若さです、これから子孫を残すことが出来るのです。幾らでも、数限りなくです」

「おいっ!」

「これであの世でデューク様にお会いしても面目が立つのです。やっとのことで肩の荷をおろせると」
 
「ちょっと待ってくれ。もし子供が出来たとしてもだ、その子が宰相の仕事が出来るのは二十年も先のことだろう。お前は五十歳だ、それまでの繋ぎはどうするのだ。おまけにそんな未来にどうやって仕事を教えるのだ」

「それは大丈夫です。有能だったデューク様の直系のお孫様がおりますからね、目の前に。その方に宰相の仕事をお教えしていきます」
「何を言うんだ、俺は軍の仕事がある。そのうえ政務だと」

「いえ、それも心配ご無用。デューク様は本当に有能な方でした。政務に加え軍の仕事にも精通していたのです。当時の最高司令官、それはあなたのご尊父ですが、その方が地方に出向いたとき、デューク様は軍の仕事も難なくこなしていらっしゃいましたからね」

「・・・・」
< 277 / 477 >

この作品をシェア

pagetop