逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 先にそれを外したのはシュテルツだった。

 そしてソフィーに向き直ると、
「ソフィー様、あなたはこの国の重要な位置に就いていただくことになると存じております」
 へりくだってはいる。しかし暗に諭すようなものが滲んでいた。

「え?」

「その節は、何とぞよろしくお願い申し上げます」

 と言うと最大の礼を尽くして頭をさげた。

 ゆっくり上げた顔には、言い尽くせぬほど晴れやかなものが浮かんでいた。
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