逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ふたりが会うのは二度目だった。

 最初は、あの始めてアーロンと出会った日だった。廃墟で助けられてここに連れて来られたのだ。
 取るものも取りあえず夕食の席に通された。
 わずかに口にしたとき、洞窟に残した負傷兵が浮かんだ。自分だけ優遇されているようで喉を通らない。そしてすぐ屋敷をあとにしたのだ。

 ソフィーがあのときの礼を告げると、
「とんでもないことでございます」
 包み込むように微笑んだ。

 リズはアーロンに向くと、
「配達される荷物ですが、別便で食料品も入って来るそうです。この時間ですから私はレブロン邸に泊まろうと思っております」

 レブロン様のお屋敷?
 ソフィーが目を見張った。
「それはあの負傷兵の準備でしょうか」

「そうだ。洞窟はバッハスの残党の懸念があるからね、彼らは早く移動させたほうがいいんだ」
< 283 / 477 >

この作品をシェア

pagetop