逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「そのことですが」
 と息を継ぎながら、
「前のさいしょうほさに、連絡を取ってみてくれますか」

「前宰相補佐だと?」
「そうです。以前お話しした左遷されて地方に行ったあの者です」

 数か月前、この王宮でそんな話をしたことがある。
 故グリンドラ王に煙たがられて地方に飛ばされたというあの男だ。

「王が逝去してから連絡を取ったのです、王宮も変わるだろうから帰って来てくれないかと」
「ほう」

「もしあの者が復帰したら政務は順調に滑り出します。それだけの器量を持っているのです」
 そう言って息を継ぐと、
「必ず力になってくれます。あなたの、アーロン殿の右腕になる、それは私が保証します」


          * * * * *
< 290 / 466 >

この作品をシェア

pagetop