逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィーは洞窟の奥を見て、
「それで、最後に出た便は無事に着いたのかしら」
「大丈夫です。馬車で途中まで来てあとはラクレス兵が背負って来てくれました」
「よかったわ」
 安堵したように胸をなでおろした。

 最後に出た便? ラクレス兵が背負って? ヴェンは首を傾げた。
 意味が全くわからない。

「だったら早く行きましょう、あの人達が待っているから」

 それぞれ袋を持って奥に向かう。
 さっきソフィーが持ってきた薬の包みだ。

 それをヴェンが追いかける。

 通路は暗かったが奥まで行くとまたロウソクが揺れていた。

 その光が映していたのは・・。

 粗末な布に横たわる大勢の男だった。
 頭に、脚に包帯が巻かれている。
 あちこちに血が滲んでいてどうやら重傷者もいるようだ。
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