逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
やって来た勅使
 マリンドウから勅使が訪れたのはある昼下がりだった。
 突然の来訪者は、マリンドウ王の親書を携えていた。

 あのグリンドラ妃と王子がマリンドウに帰国して以来のことだ。

 宰相のシュテルツに知らされる。だが彼は病床にあった。

「アーロンはいないのか」
「ここ数日ずっと王宮に詰めていましたので、今は自邸にお帰りになっています」

「それでは寝たままで申し訳ないがここに来ていただけるだろうか」

 シュテルツは半身を起こして迎える。

 型通りの挨拶を交わしてから勅使が、
「まだ内密なのですが、実はバッハスでクーデターが起きました。今までの王が追放されて新王が立ったのです」
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