逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「なんですと！」
「あの国はここグリント―ル侵攻を企てて、無残な結果に終わりました。バッハス国内でもその責を問う動きが起きたのです」

　バッハスが流動的だとは聞いていた。だがクーデターが起きるとは。
「それで今はどうなっているのですか」
「我が国に来た使者は、二つの勢力がしのぎを削っていると」

「使者が来たのですか、バッハスからあなたの国へ」
「実はクーデターで新王になったのはバッハス王の弟なのです。名前をパレスといって我がマリンドウに留学していた事があります。それでマリンドウ王とも親しいのです」
「なるほど。するとかの国は兄弟で王座を争う事になったのですね」

　弟のパレスが新王に立った。その直後にマリンドウ王に経過を伝えて来たのだという。
　それは自分と新政権を擁護して欲しいという思惑がうかがえた。

「パレス新王は、侵攻で疲弊したバッハスの再興を目指しています。一方でこのグリント―ルと不可侵の条約を結びたいと願っているのです」
< 317 / 466 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop