逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィー達は彼らの手当てを始めた。

「薬がすぐ無くなっていくわね」
「お嬢様がいっぱい持って来てくれたのですが」
「でもあの峠に残りの薬があるわ」
「まだあるんですか」
「持ち切れなくて置いて来たのよ。明日取りに行きましょう」

 ヴェンの頬がゆるんだ、持ち切れなくて置いて来ただと?

「・・だから、なんとか足りるかもしれないわ」
「・・・それじゃ彼らにもこの薬を?」
「・・・・ええ、効いてくれるといいのだけど」

 声が遠ざかる。彼女らは洞窟の分かれ道に入って行った。
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