逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「不可侵の条約? そもそもバッハスは理由もなくわが国に攻め込んだのです。その大罪はどう考えているのでしょう」

「もっともです。罪はバッハスにございます」

「我が国が被った損害は莫大です。その賠償から入られるのが筋だと考えますが」
「我がマリンドウ王もそう申しております。それでパレス新王にその旨の返事をしたのです」

 それに対しての返答は以下のものだった。

【賠償することは当然だと考えます。ただ我が国も出兵したことで疲弊しきっております。また新政権への反発もあり国内が混沌としているのです。そこで、まずグリント―ルと不可侵の条約を結びたく、そののちに賠償問題や国境のあり方を協議したいと思うのです】

 そのパレス王の書を見せた。

 文書はもう一通あり、マリンドウ王からのものだった。
【新王となったパレスの人となりは私が保証します。その上で彼の意向をよろしく頼みたいと考えております】
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