逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 勅使が続けた。
「会見の場所は当方が提供させていただきたく存じます。マリンドウ王宮に席をご用意しましょう。もちろんマリンドウ王同席の上で、パレス王とこちらのグリント―ル代表の方と協議していただきたいのです」

「お申し出は重大であると拝察しました。このような大事であれば、私の一存では即答出来かねるのですが」

「もちろんです。本日はこのまま帰国いたします。後日お返事をいただきに使者を遣わします。その節はよいお返事をと存じております」

 と言ってシュテルツを見つめた。
 居住まいを糺して深々と頭を下げる。
 そして部屋をあとにした。

「さて、どうしたものか」
 オルグに聞く。
「君ならどう思うかね」

「仲介にマリンドウ王が入るとなれば無視することは出来ないかと。場所もマリンドウ王宮を提供するとの事で、なおさらです。我が国から代表者を送り出すのは必至だと思われます」

「そうだな。問題は誰が行くかだな」
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