逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「・・それで、向こうの様子はどうなの」

 足音を忍ばせて追いかける。

「回復している人もいます。彼らはじっと様子を窺っているようで」
「あの人達に、こっちの洞窟の存在を知られたら厄介だわね」
「はい、その逆も言えるんですが」
「確かにね。彼らは体が回復したらそのまま帰ってくれたらいいんだけど」

 謎めいたことを話している。

 女達は鍾乳石をくぐって先へ進んで行く。

 ヴェンも続こうとした。

 それができなかったのは・・。
 足元で横たわる兵に足を掴まれたからだ。
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