逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
捜索
 エレナを発見したという報が入った。

 ヴェンらは北通りの市場から下町まで探索範囲を広げていた。
 その下町にある廃墟、その柱に縛り付けられた彼女を見つけたのだ。

 半死半生のエレナは、ラプターの背後をしゃべった。
 数人の傭兵崩れを雇って何かを画策していると。その傭兵崩れは川辺の倉庫をねぐらにして、エレナはラプターに連れられて何度か訪ねたことがあるのだと。

 ヴェンらは一旦ハインツ邸に戻った。相手の組織が大掛りだとわかったからだ。
 屋敷の警護兵を加えて陣容を立て直す、そしてすぐ出ようとしていた。

「大丈夫なの、傭兵崩れだなんて」
 心配するソフィーに、
「傭兵はバッハス人かも知れませんからね、用心して向かいます。それに気になることを聞いたので」

「気になること?」
「エレナは今までのことを洗いざらいしゃべったのですが、その中にハインツ家に関することがあったのです」
「え、それはいったい」

 ヴェンが答えようとする、そこへ、
「支度ができたらすぐ出発するぞ」
 ラフな服の男が現れた。

 洗いざらしのシャツと地味なズボンだった。それでも目を奪われるものがある。
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