逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「それからソフィー様のご用意です。まずは花嫁衣裳です。今から特注するには時間がありません。だからどうでしょう、レブロン家から輿入れされたベアトリス様の衣裳をお借りしては。あの衣裳は天下の贅を尽くした逸品でございます。この屋敷で手入れをしていますのですぐお召しになれます。ソフィー様にご異存がなければ、の話ですが」

「そうだな、早速ソフィーに聞いてみよう。彼女はどう言うかな。出来れば新しい衣装を構えたかったのだが。いや、彼女はあれでいいと言ってくれるかもしれない。今から早速行ってこよう」
 言うなり部屋を出た。

 見送ってリズは微笑む。
「私もこうしてはいられない。執事殿に報告して、侍女達に支度にかかるよう声をかけて、それから」
 らしくもなくバタバタと駆けて行った。


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