逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 さっき、アーロンは何かを言いたげに近づいてきた。
 
 そして、
「ずっとここにいてくれるのだろう」
「はい?」

「妻として、生涯そばにいて欲しいのだ。遅くなって申し訳ない、式を上げよう。それもなるだけ近々にだ」
 
 絶句している彼女に、
 
「いいだろう?」
 再び問いかける。
 
 その蒼い瞳を見つめた。
 吸い込まれそうになった。

 やっと、
「はい」
 それだけ言えた。

 涙がこぼれた。

 そんな彼女をアーロンが両手で抱きしめた。
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