逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 大きな鏡の中に、麗人が出来上がっていく。

 衣装箱の中には、ルクブロケードのヴェストやコート、クラヴァットがある。それを数人の小姓が着付けている。

 もとより上背があり完璧な容姿がある。
 あたりを圧する存在感、それに壮麗さが加わり誰もが息を呑む。

 これではパレス王も、マリンドウの宰相も太刀打ちできないだろう。
 誰もがそう思った。
 目の前のア―ロンにはそれだけの威厳があった。

 そして、そんな彼の元に新たな急使が飛び込んできた。


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