逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィーがうつむいた、こみ上げるものを押さえようとする。

 ・・と、自分の手にあるものを意識した。
 託された封書だった。

 中にはアーロンの自筆で二枚の書があった。一枚目は、
【自分にもしものことがあれば、このハインツ家とレブロン家の家屋敷はソフィー・ラクレスに譲るものとする。所有する荘園のすべても同様である】

 そして次には、
【気丈に過ごしてくれ。ソフィーの幸福が自分にとって至上のものなのだ】

 とあった。
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