逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「もう泣くな」
 ソフィーの肩を抱いた。
「だって、気がつかなくて。包帯にこんなに血が滲んでいるなんて」
「大丈夫だと言っただろう。俺も油断したものだ、あの瞬間かわし切れなかったとはな」

「切りかかったのはティムなのです。あのセンダのはずれで」
 その話にネイラが加わり、
「なんですって!」
 ソフィーが絶句した。

 食卓にアーロンとソフィーが座り、その横にネイラがいる。
 主人しか着席しないとされるテーブルに破格の待遇といえた。

「それで、ティムはどうなるのでしょう」
「王宮に突き出せば重罪かも知れないな」

 ソフィーが絶句する。
 アーロンは笑って、
「大丈夫だ、俺さえ黙っていれば誰も追及することはない。だがしばらく部屋に監禁だな、それで様子をみることにしよう」

 そんな会話をネイラが見ていた。
< 391 / 477 >

この作品をシェア

pagetop