逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「あの、さっきのお話は?」
 ソフィーがアーロンを見た。

「前から話は出ていたんだ。グリンドラ王が亡くなって、王妃と王子が隣国へ帰ってからね。しかし引き受けたいかと言われれば、それは違う。今以上に重責に縛られるからだ。俺はもっと自由に国に貢献したいだけなのだ」

 そう言ってソフィーを見た。
「君はどう思う?」
「私ですか、私など・・」
「関係ないとは言わせないぞ。俺の妻なのだ。シュテルツの望む通りになれば君は王妃だ、この国の中心に躍り出ることになる」
「ええっ!」
 始めてそこに繋がったような顔だった。

「私などにそんな大役は。そんな大それた立場になるなどと」
「いや、俺はずっと見ていたんだ。あの大勢の負傷兵を見捨てず面倒を見て来ただろう。それこそ国の母となって立っていける資質じゃないかとね」
 
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