逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「それでは行くとするか」
 おもむろに立ちあがった。
「え?」

「会議場へだ、これから皆のところへ行ってくるぞ」
 精悍なアーロンに戻っていた。

 通路の隅にまだ執事とリズがいた。
 二人は疲れてしゃがみ込んでいる。

 と、向こうの部屋のドアが開いた。
 アーロンが出てきた。

 座っている彼らを見て、
「なんだ二人とも。そんな所で何をしているのだ」
「はい、それは、そのぉ」

「これから会議に出席するぞ。だいぶあいつらを待たせたからな」
 そう言って笑った。

「さぞ怒っているだろうな、シュテルツの奴。いやみんな全員か。鬼が出るのか蛇が出るのか。何が出ようとかまうものか、ぜんぶまとめて蹴散らしてやる」

 唖然としている二人に、
「ああ気分がいい、こっちはすこぶる壮快なのだ」
 大声で言い放った。

 そして颯爽と会議場へ向かって行った。
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