逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 シュテルツは、そんな光景を対面の部屋から見ていた。
 そこにベッドを運んでもらって身を横たえていた。

「ご覧になっていますかデューク様、あなたのお孫様はこんなに立派になられました。グリント―ルをつかさどる国王になられたのです。そして素晴らしいご伴侶を迎えられました」

 彼の目は深い色をたたえていた、そして微笑んでいた。


 会場の一席で二人を見守っている男がいた。
 ラクレス隊の元隊長のガイだった。

「ダン・ラクレス様、お嬢さまは輝いておられます。これ以上ない方と結ばれてお幸せそうに微笑んでおられます」
 ガイの目にも涙が滲んでいた。

 隣には盟友のセルビィがいた。彼はわらって、
「本音を言えよ、それは建前だろう? 悔しくないとは言わせないぞ、あれほど恋焦がれたソフィー様だ。それがとうとう手が届かない存在になってしまったんだからな」

「うるさいっ、あの方が幸せになって下さればそれでいいのだ、俺はそれで十分なのだ」
 顔を赤らめて、力むように言った。


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