逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 国境は以前からラクレス隊が警備していた。
 そこへ突如ケイネ隊が加わったのだ、混乱がなかったとは思えなかった。

 そして、そのケイネ伯の国境滞在は長くはなかった。
 わずか半月後に戻って来たのだ。

 体調を崩したとの理由だった。あとの指揮を部下に任せての帰還だった。

 その直後、息子のギースも姿を消したという。
 何かがあったらしい。

 だがケイネは頑として仔細を言わず、あれは不肖の息子で修行に出した、と嘘くさい言い訳を繰り返していた。

「さてさて、向こうで何があったものか」
 シュテルツは頭を掻き、
「どうも厄介な気配を感じるな」
 アーロンも腕を組んだ。


          * * * * *
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