逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 そしてそんな紆余曲折を経ても軍資金は返済されない。
 カライルは最後の手段に出た、握った奥の手でケイネを脅したのだ。

 バッハスへの軍事機密の漏洩、そしてあろうことか友軍のラクレス公を殺害するという暴挙。それをネタに強請ったのだ。

 ケイネは蒼白になった。
 やっと金を払う姿勢になる。
 ケイネ家の用人がそれを持ってカライル邸に出向いた。

 それが事件の顛末だった。

 そのカライルの供述は、部屋にいるすべての係官を絶句させた。

 彼らの奥にいるアーロンは、微動だにしなかった。
 鬼のような形相でカライルを睨んでいた。


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