逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
今を生きて行くことの意味  終焉
 バッハスとの国境、ラクレス隊の兵舎の近くに小隊が集まっている。
 周囲にはテントが張られ厳粛な空気が漂っていた。

 中心にいるのは国軍の幹部になったガイだ。彼はこの間までラクレス隊の隊長だった。
 側には新しく隊長になったセルビィがいる。

 兵が土を掘り始めた。
 サクサクという音が響く。
 と、それに遠くから蹄の音が加わった。

 一個団体の集団が近づいていた。

 ガイもセルビィも、そして作業中の兵もそれを見る。

 百人ほどの護衛兵が馬車を囲んでいる。
 馬車は立派な設えで、グリント―ル国の紋章が入っていた。

「えっ、まさか!」

 この日に国王が来るかもしれないというのは聞いていた。

 国境での作業に破格の訪問だった。
 しかし彼だけなら騎馬で来るだろう、もしかして。

 案の定、先に降り立ったアーロンが馬車の中に手を差し伸べた。
 それに手を添えて降りたのは・・、鈍色の服を着たソフィーだった。

 ガイを始めとした全員が威儀を正した、そして敬礼した。

 アーロンはソフィーを支えるように数歩あるき、小高い丘陵で立ち止まった。
 ガイらがいる小隊まで百メートルの位置だ。

「ここでお迎えしよう。お父上もそれを望んでいると思うよ」
 
「・・はい」

 アーロンはガイらに向かって、
「そのまま続けてくれ」















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