逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィーは洞窟の存在を知られまいとした。だから入口がわからないだろう岩場から入ったのだ。

 ヴェンは入口から離れた灌木の前に立った。
 枝葉の中に手を入れる、そして小さな鳥籠を出した。
 この山に登るときアーロンから託された物だった。

 中に伝書鳩がいた。
「一晩ごめんな、寂しくなかったか」
 
 足に紙を結び付けると、
「がんばって届けてくれよ」
 大空へ放した。

 アーロン邸に帰るようしつけられた鳩だった。
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