逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「なんだと！　何をそんなにすごいことをしてもらったのだ」
　詰め寄ると、
「あなたを若くしてもらったことよ。これから長い時間を一緒に生きて行けるでしょう」
　といって微笑んだ。

「この先、もしあなたと一緒にいられなくなったら辛いことだと思う。母や父が私を置いて逝ってしまったように。そして宰相のシュテルツ様が突然いなくなってしまったように。思い出はあってももう二度と会うことは出来ないのだから」
「・・・・」

「あなたが歳を飛び越えたということは、きっと何かの意味があることだと思うの。何かが伸びて何かが縮んだのかもしれないし、難しいことはわからない。でも、私たちはあのとき出逢って、これからも長く一緒にいられる。あのワイトはそんな時間をもたらしてくれた、だから私は彼にすごく感謝しているの」

　アーロンは瞬きもせずソフィーを見ていた。


　　　　　　　　　　＊　＊　＊　＊　＊