逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
『あれは雁だ、ほら鈎型に隊列を組んで飛んでいるだろう』
大空を見ながら、
『冬になる前に南へ渡っていくんだよ』
そう教えてくれた。
『いいな、あんな高いところに行ってみたい』
両手を空に向けた娘を、父は高く抱き上げた。
『ほら、ちょっとは近づけただろう』
耳元で楽しげに笑っていた。
あの声を、あの手の温もりを今でもはっきり覚えている。
二人はラクレス邸の庭にいた。
今は王妃として王宮にいる。それをもし父が聞いたらどんな顔をするだろうか。
自室の窓から青い空が見える。
「いいな、あんな高い所に行ってみたい」
つい口にしていた。
・・と、
「連れて行ってやろうか、あの大空へ」
後ろから声がした。
入って来たのはワイトだった。
大空を見ながら、
『冬になる前に南へ渡っていくんだよ』
そう教えてくれた。
『いいな、あんな高いところに行ってみたい』
両手を空に向けた娘を、父は高く抱き上げた。
『ほら、ちょっとは近づけただろう』
耳元で楽しげに笑っていた。
あの声を、あの手の温もりを今でもはっきり覚えている。
二人はラクレス邸の庭にいた。
今は王妃として王宮にいる。それをもし父が聞いたらどんな顔をするだろうか。
自室の窓から青い空が見える。
「いいな、あんな高い所に行ってみたい」
つい口にしていた。
・・と、
「連れて行ってやろうか、あの大空へ」
後ろから声がした。
入って来たのはワイトだった。