逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「ああ。お前らの娘が生まれる、一年後にな」
 そう言ってからはたと考えて、
「あ、いや、正確には十か月後だ、かっちり今夜から(・・・・)数えてな」
 と指を折っている。

「っ、今夜だと!」

「その生まれた子があと二十年もしたら、とびっきりの美女になるんだ」
 未来を予測したことを言い始めた。

「そしたらその子は毎日空を見上げて物思いにふけるはずだ」
「空を、見上げるだと?」

「そうだ。自分の愛しい人はいつ私を迎えに来てくれるんだろうと、毎日恋焦がれて見るはずだ」
「なに? もしかしてそれは」

「そうだよ、俺がやって来るんだ。空の上から、この宇宙船に乗ってな」
「・・!」

「娘はソフィーそっくりの美人になっている。その子はソフィーの分身だ。俺はソフィーが待っていてくれたと思って彼女を連れて行くよ。宇宙の彼方までな」

 アーロンが顔色を変えた。
「何を言っているんだ。ソフィーの分身だと? 娘を連れていくだと? 宇宙の彼方までだと? 許さん!! 許すものか、この馬鹿者が」
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