逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
暗部の足音
「馬鹿者がっ。お前はどうしていつもこうなんだ」
ケイネの屋敷に怒鳴り声が響いた。
「ラクレスの娘を連れて来いと言っただろうが。それを途中で手放しただと? なぜ死に物狂いで引っ張って来なかったのだ」
ギースはうらめしげに見上げると、
「でも突然来た酔っ払いは何人もいたんだ。だから俺一人では」
「酔っ払いだと! たかが平民だろうが。なぜこっちが弱腰になってしまうのだ」
ギースの顔がゆがんだ。
この父は国境のあの一件で逃げるように帰って来たのだ。
そんな自分の落ち度を棚に上げて、と。
憎悪がこみ上げてきた。
ケイネの屋敷に怒鳴り声が響いた。
「ラクレスの娘を連れて来いと言っただろうが。それを途中で手放しただと? なぜ死に物狂いで引っ張って来なかったのだ」
ギースはうらめしげに見上げると、
「でも突然来た酔っ払いは何人もいたんだ。だから俺一人では」
「酔っ払いだと! たかが平民だろうが。なぜこっちが弱腰になってしまうのだ」
ギースの顔がゆがんだ。
この父は国境のあの一件で逃げるように帰って来たのだ。
そんな自分の落ち度を棚に上げて、と。
憎悪がこみ上げてきた。