逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
『国境警備に赴任せよ!』
 すべてはあのグリンドラ王のひと声で始まった。

 あっという間に出陣が決まり王都をあとにした。
 
 国境は殺伐とした荒れ地だった。

 バッハスとの間に国境線などない。
 そびえる山の両側で対峙していた。

 距離は三百メートル、ときおり林の間から黒い影が見えた。

 この間の越境はあっという間だと聞いていた。
 突然バッハスが現れ、ラクレス兵に切りかかったのだと。
 そう思うと今にも剣を抜いて突進して来そうに思えた。
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