逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「ちょっと、ここで何をやっているのよ」

 けたたましい声で飛び起きた。
「あなた、ヴェンでしょう。なぜここで寝ているのよ」
 ソフィーが上から見下ろしている。

 あっと言って身を起こした。
 あろうことか、あれこれしゃべっているうちに眠ってしまったのだ。

「お嬢様、こいつは悪い奴じゃないんで」
 デイズがあわてて口を添える。
「こいつはアーロン様の私兵なんで。アーロン様も信頼できる立派な方で」

「知ってるわよそんなこと。あなた達に使っている薬、その代金はあの方の財布から出たのよ」
「え?」

「全部アーロン様が出して下さったのよ、太っ腹ね」
 あっけらかんという。
「それから、これから買う予定の薬代、あの店全部の代金も引き受けてくださるわよ、たぶんね」

 
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