逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「王宮には現地の声が伝わってこないんだ。肝心な部分が掴めず手をこまねいている。何か理不尽なものがあるのではないか」
 
「そうです。こんな機会はめったにないんだ、思ったことを話してください」
 ヴェンも口を添えた。

 老兵はじっと考えていたが、
「正直な所を申し上げます。国境警備隊と王宮との意思の疎通が取れていないと思います」

 側にいた兵が驚いて止めようとする。
「お前そんなことを言って」
「そうだ、滅多なことを」
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