逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「ラクレス様はおっしゃっていました、国境線は膨大でラクレス隊だけで警護するのは無理があると。それで国に何度も増援の依頼をしていましたが」

 やって来たのはこのケイネ隊の面々だったのだ。

「だから俺は何度も国王に陳情したのだ、こんな難しい警備は国軍が受け持つべきだと。だがそのたび却下されていたんだ」
「さようで、ございましたか」

「よくわかったよ。君達が、ダン・ラクレス殿がどれだけ辛酸をなめていたのかが」

 いつの間にか回りに負傷兵が集まっていた。十重二十重に囲んで聞いている。

 
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