逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 呼び鈴を鳴らして侍女を呼んだ。
「こいつの食事を持って来てくれ。取りあえず何でもいいから」

 侍女は一礼した。顔を上げたときチラと少年を見た。
 彼はあり得ないほど目を丸めてこっちを見ている。
 その目玉が、ほとんど眼孔から飛び出していた。

「ひいぃーっ!」
 悲鳴をあげて逃げて行く。

「こらっ、あんまり女を脅かすもんじゃない」

 ポコンと頭を叩いた。
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