恋は青い色をしていた。
女の子らしい浴衣姿の可愛さに武器を持つ前にもう負けたと、他人のふりをするように目線を外そうとすれば、顔が変に曲がったかと疑うほど勢いよく私の頭を掴んで引き寄せる。
もちろん琉火くんが。
そのせいで何も返事をしない琉火くんに思いきり近づいたところを見てしまうわけで、こそ、と耳打ちした言葉だって聞こえてきた。
───花火が終わったら、待ってるね
かき氷もパイン飴も食べ終わってしまった午後八時。
夜が深くなるにつれて、ぼんやり光る提灯、屋台の色とりどりな照明で、だんだんお祭りの光が濃くなっていく。
混んだ花火会場よりも近くの公園の方が見やすいというの琉火くん情報で私たちはお祭り会場に背を向けて歩いた。
なにも切り出せずにいる。世間話をしようにも上手く笑えそうになくて、固く唇を結んだ。
...どうする?ダメ押しで好きって言っておく?この泣きの一回で好きになってくれる可能性無い?無いな!!!
───結局話もしないまま到着した時にはほとんど明かりが無くて、心の準備をする暇もなく、花火の線が空の上までのびた音がする。
それは大きく空を昇り、白色の花火がはじけた。続けて浮かぶ光が青色をしていないように願うばかりで、手放しでは楽しめなくて。
気づいてた?私、一年くださいって言っただけなんだよ
隣にいてってお願いしてないのに、私のためにずっと近くにいてくれたんだね、琉火くん。