甘くて優しい、恋の香り。
高校生になって、好きな人が出来た。
ダンス部の、二年の先パイ。
今日も部活の時間は、うっとりしてしまう。
聡太先パイの好きなところ。
優しいところ。
誰に対しても丁寧なところ。
実は負けず嫌いなところ。
カッコいいけど、笑うとくしゃくしゃな顔になるところ。
私、安堂 果穂がうっとりと聡太先パイを見つめていると、
「告白しないの?」
と、背後から急に声をかけられた。
「翼先パイっ、びっくりするじゃないですか!」
聡太先パイの幼馴染みの翼先パイは、気配を消しているというか、神出鬼没というか……。
「見ているだけでいいの?安堂、めっちゃ聡太のこと好きじゃん」
「いやー、告白なんてハードル高いです。見ているだけで満足ですよ」
「ふぅーん、他の奴にとられても知らないよ?」
ニヤニヤしつつ、練習に戻る翼先パイ。
(何?あれ……)